教育係の私が後輩から…
「佐伯、どうしたその顔…?」
化粧直ししたけど、泣いた事隠しきれなかった様だ。
「なんでもない。それより、七本に、私の仕事引き継いで欲しいの?」
「はぁ!? どう言うことだよ!?」
「私、会社辞める。だから…」
「ちょっと来い!」
七本は場所を変えようと、私を社屋から連れ出した。
「どうするかな…資料課だと、空気悪いし…。
取り敢えず、あのカフェで良いか?
この時間なら会社の人間は来ないだろ?」
七本はそう言うと、私が毎朝寄るカフェへつれていった。
そして、カフェに入ると、七本はコーヒーとホットミルクを頼んでくれた。
「ホットミルクって、七本珍しい物飲むんだね?」
「馬鹿!
ホットミルクはお前のだよ!? 俺はコーヒー!」
「えー私、牛乳苦手なんだけど?」
「お前、母親って自覚あんの?
さっきもコーヒー飲んでただろ?
コーヒーにはカフェインがだな…」
あれは、誠一郎が買って来てくれた、妊婦さん用のコーヒーなんだけどね?
「その話前にも聞いた。ありがとう…でももういい。」
「何があった話してみろ?」
私は大まかに副社長から言われた事を七本へ話した。
「なんだよそれ!?」
「仕方ないよ…私に付いたイメージだもん。」
「だからあの時、俺は皆んなに話して誤解解こうって言ったんだのよ!?」
「ありがとう…でも同じだったと思う。」
「彼奴はなんて言ってるんだよ!?」
「彼は私を守ろうとしてくれた。でも…」
「お前は身を引くってか?…不器用な女だな?」
「馬鹿って言って良いよ?」
「じゃ、馬鹿な女!」
「……」
「馬鹿な女なら、馬鹿な男と釣り合うと思わないか?」
「え?」
「俺、マジで佐伯の事好きなんだ。
俺の事本気で考えてみてくれないか?
腹の子の為にも?」
「ありがとう。でも、ごめん。
七本には頼れない。」
「やっぱり猪瀬さんが、好きなんだな?」
「誰の幸せも奪いたくない…
でも、七本の気持ちは嬉しかった。
じゃ、行くね?」
「気を付けろよ!?
何かあったら、直ぐ連絡しろよ?」
「ありがとう。」