教育係の私が後輩から…
暴かれる其々のおもい

退職届を出して、一ヶ月が経とうとした頃、キクさんからの呼び出しが有り、再び会社へ向かう事になった。

ロビーでは、私の顔を怪訝そうに見る社員達。

二度と来ないだろうと思っていたのに、こうも早く、来る事になるとは、思いもしなかった。

ロビーに入ると、真っ直ぐ、受付カウンターへ向かう。

「佐伯と申しますが、此方の社長様からの、呼び出しを受け、参りましたので、お取り次ぎ願いますか?」

私は、敢えて、自分の意思で来たのではないと、強調して言った。

「はい。伺っております。社長室へご案内致します。」
と、日比野さんが案内してくれる事になった。

「その香水、付き合ってる彼から貰ったの?」

「ええ、七本さんから、プレゼントして貰ったのよ?
私だけに作った、世界に一つだけの香水。」

そんなハイスペックな事、七本に出来ないことくらい、誰でもわかるわよ!
もう少し、ましな嘘付けばいいのね?

「そう。大きなお世話かもしれないけど、その香水やめた方が良いわよ?」

「なんで、あんたにそんな事言われなきゃいけないのよ!?」

「親切心で言ったつもりだけど?
それから、恋愛は自由だけど、よく相手を見極めなきゃ、自分が泣くことになるわよ?」

「私が誰と付き合っていようと、あんたに関係ないでしょ!?」

「そうね? 私には関係なかったわね? 御免なさいね?
でも、関係のない七本を、巻き込まないであげて!」

日比野さんが、どうなろうと私の知った事ではない。
忠告はしてあげたんだから?
後は好きにして頂戴。






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