幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
仕事の内容はどうやらいらなくなった本の整理をしているらしい。
楓くんが1人でやってるのが大変だと思って、早足で図書室に到着。
扉を開けると、誰もいる様子はない。
奥に進むと物音がする。
本棚からひょこっと顔を覗かせると、重そうな本を運んでいた楓くんの姿があった。
やっぱり楓くん1人しかいなかった。
楓くんの周りは古い分厚い本がたくさん。
たぶん全部処分するやつだと思う。
これを全部1人でやるなんて大変だ。
本を運ぶのに夢中の楓くんは、
わたしが来ていることに気づく様子がない。
かと思えば、いきなりこっちを向いたので、
バッチリ目があった。
「え、雛乃先輩?」
こちらを向いた楓くんは、かなり驚いた顔をしていた。
どうしよう……。
こんなふうに直接話すのが久しぶりで、
少し緊張してしまう。