幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
「あ、えっとね、さっき原田先生から聞いたの。楓くんが1人で本の整理してるって」
なるべく不自然にならないよう言葉をつなげたつもり。
「それで、わざわざ来てくれたんですか?」
「う、うん。1人だと大変だと思って」
少しぎこちなく言ってしまったけど、楓くんはわたしのほうを見て優しく笑った。
「雛乃先輩は優しいですね。普通ならテキトーに理由作って帰るのに」
そりゃ、面倒だから帰りたいけども。
でも、楓くんにはいつもいろいろ助けてもらってるから。
「楓くんにはいつもお世話になりっぱなしだから。少しでも助けられたらいいなって思って」
「やっぱり、優しいところは昔から変わってないですね。そういうところ俺すごい好きです」
好きですって単語が妙によく聞こえてしまって、ドキリとした。