幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
「そりゃ……先輩は特別ですよ。こんなに仲良いの雛乃先輩くらいです」
「えぇ、嬉しいなぁ。わたしも男の子だと楓くんだけだよ、仲良くしてくれるの」
本棚に本を並べながら、わたしがそう言うと、楓くんが黙り込んでしまった。
手を止めずに作業をしていると、
背後に楓くんの気配を感じた。
楓くんの長い腕が後ろから伸びて、本棚にトンッと手をついて、わたしの身体をすっぽり覆った。
「へ……?か、楓くん?」
後ろを振り向こうにも、距離が近すぎて、振り向けず、楓くんの顔が見えないまま、問いかける。
何も言ってくれない。
突然の行動にわたしの頭は軽くパニック状態。
そして、
楓くんが、そっとわたしの耳元で
「ほんとに……俺だけですか?」
ボソッとささやいた。