幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
「な、何が?」
こんなこと聞かなきゃよかった。
「電話……」
「え……?」
嫌な予感がした。
その予感は見事に的中してしまう。
「雛乃先輩が風邪引いた日に途中で電話代わった人……あの男の人って誰ですか?」
自分がいちばん聞かれて困ることを
ついに口に出されてしまった。
「雛乃先輩と……どういう関係ですか?」
珍しく……楓くんの声が小さく、弱い。
ここで正直に答えることはできない。
だけど、この逃げ場のない状態で、思いつく言い訳なんか何もない。
わたしがずっと黙り込んで何も返さずにいると。
楓くんの手がわたしの肩に軽く触れた。
そして、身体をくるりと回され、
正面を向かされた。
見上げると、楓くんの顔がしっかり見える。