幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



壁にトンッと手をつき、わたしから逃げ場を奪う。



「……答えて、先輩」

「っ……」



こんな強引な楓くんは見たことない。

強引に迫ってくるのに、表情はなんだか余裕がなさそうに見える。



わたしが離れようとしても、それを許してはくれない。


「俺に言えない……ですか?」

「えっと、その、あの電話は━━」


なんとか言葉を繋ごうとした時だった。



━━ガラガラッ!!


いきなり図書室の扉が開いた音がした。


その音に反応して、楓くんがとっさにわたしから距離をとった。



「おー、お前ら仕事どうだー?順調か?」


そこにいたのは、原田先生だった。


正直、このタイミングで来てくれてホッとした。



「すまんなー。明日からなんとか当番制にできるかどうか先生のほうでも予定組んでみるからな。今日のところはもう帰っていいぞ?そろそろ下校時間だしなー」

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