幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



こうしてわたしたちは図書室を出て、帰ることになった。


図書室から下駄箱に着くまで。
お互い何も話さなかった。



下駄箱で靴を履き替え、門のところに来たところで。


「あ……じゃあ、またね」

と、わたしが声をかけると。


「遅いんで送ります」



楓くんがそう言って、わたしの返事を待たずに、歩き出してしまった。



ここで断ってしまったら、変にいろいろ勘ぐられてしまうんではないかと思って、断ることができず。


楓くんが歩く少し後ろを歩く。



たぶん……いや、絶対。
楓くんは何かに気づいている。


もし、家の前で榛名くんと鉢合わせてしまったら、今度こそ言い訳ができなくなってしまう。


どうか、バレずにすみますように……!
と、心の中で願いながら家まで帰った。

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