幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



「……へ?か、楓くん……?」


やっぱり、さっきからずっと、楓くんの様子がおかしい、いつもと違う。



わたしが名前を呼んでも応えてくれない。

応える代わりに、楓くんの腕がさらにわたしを強く抱きしめる。



「俺……そろそろ本気出してもいいですか?」

「え……?」



どういうこと?って、聞こうとしたのに、その隙を与えてはくれず。


身体をくるっと回されて、少し顔をあげると、真っ正面に楓くん。


「っ……!」


想像してたより、至近距離で、思わず顔をそらそうとしたのに。



「……ダメ。俺のほう見て、先輩」


楓くんの両手が、わたしの頬を挟んで、そらすことを許してくれない。


「っ……ぅ……な、なんか恥ずかしい……よ……っ」

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