幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
変だ……いつもの楓くんじゃないせいなのか、胸のあたりがざわざわしてる。
身体の熱が一気に上がって、顔が火照ってきているのが触らなくてもわかってしまう。
きっと、今のわたしは顔が真っ赤だと思う。
「……そんな可愛い顔、俺以外に見せてるんですか?」
「っ……ま、まって……!」
迫ってくる楓くんを押し返した時だった。
目の前の扉が、中からガチャッと開いた。
開けたのはわたしではない。
もちろん、楓くんでもない。
ということは……。
「っ!!」
お、終わった……。
恐れていた最悪の事態が起こった。
中から、榛名くんが出てきてしまったのだ。
扉を開けた張本人の榛名くんは、わたしと楓くんを見て、固まっている。
楓くんも同じく、中から出てきた榛名くんを見て固まっている。
ど、どう乗り越える……この状況……!