幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



内心あわてまくりのわたしは、2人を交互にキョロキョロ見ながら、言葉を発せずにいる。


しばらくの間、沈黙が流れ、それを破ったのは……。



「……あー、まだ楓くんと絡んでんの?悪い子だね、ひなは」


嫌味たっぷりの口調の榛名くんだった。



「い、いや……これは……!」


あわてるわたしとは対照的に、2人はなぜか冷静な表情のまま、お互い睨み合っている。


そして、次に楓くんが口を開いた。


「雛乃先輩。この人は?」


う、うわ……楓くんのこんな低い声と、険しい顔は見たことがない。



……さすがに、この状況で同居人ですとは言えるわけがない。


だけど、わたしの家から出てきてしまっているところを見られて、しかも榛名くんは部屋着姿だし。なんと言い訳すればいいのか……。


わたしが頭を悩ましていると、それを全部吹っ飛ばすようなことを榛名くんが言った。

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