幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
すると、楓くんが落ち着いた口調で、わたしに尋ねてきた。
「雛乃先輩と、その人はただの同居人ですか?」
わたしと榛名くんは、あくまでただの同居人で、それ以上でもそれ以下でもない。
「え……あ、うん」
わたしが質問に答えると、耳元で「チッ……」と、舌打ちが聞こえた。
えぇ、なんで舌打ち……!?
「へー、じゃあ彼氏とかじゃないんですね」
今度は楓くんが、榛名くんに対して挑発するような口調で話す。
「だったら、俺にもまだ充分にチャンスありますね」
「?」
「俺、これから遠慮しないんで。
覚悟してくださいね、雛乃先輩」
わたしがキョトンとした顔で、楓くんを見ると。
「……絶対、俺のものにしてみせます」
真剣な声のトーンで、そう言うと、楓くんは立ち去って行ってしまった。