幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
またね、ってもう2度と関わるつもりなんかないし。
それに……。
「な、なんでわたしの名前……」
教えたはずのないわたしの名前を知っていた榛名くん。
しかも下の名前で、雛乃って言った。
1年の頃から2年になった今。
同じクラスになったことはないはず。
だから、わたしの名前なんか知ってるわけなんかない。
ましてや、下の名前なんて。
榛名伊織
今日この人との出会いは最低で最悪。
こんなやつと関わるのなんて絶対ごめんだって。
人をバカにして、デリカシーのないことばかり言ってきて、おまけにファーストキスを奪っていた、大嫌いな人。
未だに口の中に残るイチゴの味と、唇に残る感触を消すために、再び唇を擦って、図書委員の仕事に取りかかり始めた。