幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
1人ポツーンと取り残されたわたしは、ベンチに座りながら、目の前を歩いていく人たちを見ている。
小学生くらいの子がお面をかぶって走っていたり、家族で来ている人たちや、友達同士で来ている人たち。
そして、いちばん視界に入れたくなかった、
仲よさそうに手を繋いでいる彼氏と彼女。
そんな姿を見て、嫌でも榛名くんと涼川さんの2人が浮かぶ。
2人もあんなふうに、手を繋いだりして、一緒に花火を見るんだろうか……。
せっかく忘れていたことだったのに、思い出してしまって気分が落ち込んだ。
とりあえず視線を他にそらしたくて、下にうつむいた。
「はぁ……」
下を向くと自然とため息をつくのが当たり前になってしまった。