幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



1人ポツーンと取り残されたわたしは、ベンチに座りながら、目の前を歩いていく人たちを見ている。


小学生くらいの子がお面をかぶって走っていたり、家族で来ている人たちや、友達同士で来ている人たち。



そして、いちばん視界に入れたくなかった、
仲よさそうに手を繋いでいる彼氏と彼女。



そんな姿を見て、嫌でも榛名くんと涼川さんの2人が浮かぶ。


2人もあんなふうに、手を繋いだりして、一緒に花火を見るんだろうか……。



せっかく忘れていたことだったのに、思い出してしまって気分が落ち込んだ。


とりあえず視線を他にそらしたくて、下にうつむいた。


「はぁ……」


下を向くと自然とため息をつくのが当たり前になってしまった。

< 281 / 391 >

この作品をシェア

pagetop