幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
好きなら伝えてしまえ。
人混みの波を歩き続けること数分。
ひとけのない場所に連れてこられた。
歩いている時、榛名くんはわたしのほうは振り向こうとはせず無言で、ただひたすらわたしの手を引いて歩いていた。
そして今、ようやく立ち止まり、こちらを振り返った。
シーンと静まり返ったこの空間と、
榛名くんと2人っきりになっている状況のせいで、一気に緊張が走る。
榛名くんはわたしを見つめたまま、何も言ってこない。
さっきからつかんでいる手も離そうとはせず、さらにギュッと握ってきた。
その動作に胸がキュッと縮まって、好きという気持ちがさらにブワッと溢れてくる。
……たぶん、今のわたしの顔は赤い気がする。
好きと気づいてしまったら、意識せずに接することなんて器用なことできない。
自分はここまで単純で、わかりやすいタイプだとは思っていなかった。
……全然余裕がない。