幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



「教えたらなんかお礼ちょーだいよ」


え、なんですか、その何かを企んでいるように笑うその顔は…!!

絶対何かよからぬことを考えているに違いない…!



「勉強教えてあげるから、いっこだけ僕の言うこと聞いてよ。お礼として」


「えっと、それはどういった内容……」


変な内容だったら即却下と言うつもりだったのに。


「内容は秘密。言ったら面白くないじゃん」


口角を上げて、フッと笑った顔がなんとも黒いといいますか…。

秘密っていうあたりが、さらに怪しいといいますか…。


でも、わたしには榛名くんの力を借りるという選択肢以外ないわけで。



「わ、わかったよ。そのかわりいっこだけね!無理なこと言うのはダメだよ?」


「ふっ、じゃあ決まりね。僕が何言ってもひなには拒否権ないから」



不敵な笑みを浮かべたまま、最後にボソッと
「あー、たのしみ」とつぶやいたのは聞こえなかったことにしよう。

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