幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



「こうなったら、現行犯でとっ捕まえてやるわよ」


杏奈が手に持っていたブランケットを雑に棚に戻すと、わたしの手を引いて、お店を飛び出した。


グイグイ歩いていく杏奈の後ろをただついていくだけしかできない。



ここでわたしが2人の元に行ってしまったら、世の中でよくある修羅場というやつになってしまうんだろうか…なんて余計なことを考えてしまった。


2人を早足で追いかけること数分。


後ろ姿をとらえた。



「こらー!そこの榛名!!」



2人の後ろ姿を見つけた途端、杏奈がいきなり大声で榛名くんの名前を呼んでびっくりした。


ここは駅周辺で、人がたくさんいるのにも関わらず、人の視線なんてお構いなしの杏奈さん。


そして、前にいた2人がこちらを振り返った。


榛名くんは驚いた顔でわたしたちを見ていて、隣にいた綺麗な女の人はキョトンとした顔でわたしたちを見ていた。

< 355 / 391 >

この作品をシェア

pagetop