幼なじみの榛名くんは甘えたがり。



女の人がわたしのほうを見て、何かに気づいたみたいで、ニコッと笑って言った。


「あら〜、雛乃ちゃんこんにちは」


え……?
いまこの人、たしかにわたしの名前を呼んだような……。



「伊織がいつもお世話になってます」

「……?」


はて……。
これはいったいどういうこと?


よくわからないので、頭にはてなマークを浮かべていると。



「あら、忘れちゃったかしら。まあ、それもそうよね。雛乃ちゃんと会ったのはまだ幼稚園の頃だったものね?」


え……ま、まさかこの人……。



「伊織のママだけど覚えてないかしら?」

「っ!?」


あ、あぁぁぁぁ……どうりで、どことなく榛名くんと顔が似ていると思ったんだ。


まさかこんなかたちで会うことになるなんて。


今のわたしたちの会話を聞いていた杏奈が、
「……は?」という声を出して、こちらを見ていた。

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