幼なじみの榛名くんは甘えたがり。
杏奈の指差すほうを見ると、教室の前の扉に楓くんがいた。
わたしのほうに手を振っている。
「よかったじゃん。そろそろ雛乃が困る頃だと思って来てくれたんじゃない?ほんといい子だよねー」
「ちょっといってくるね」
杏奈と離れて、廊下にいる楓くんのほうにかけよる。
「あー、気づいてくれた。よかったです、まだ帰ってなくて」
「えっと、」
「テスト大丈夫ですか?」
「うっ……」
やっぱり杏奈の言う通り、テストの心配をしてくれて、わざわざ来てくれたんだ。
「また、ウチ来て勉強します?」
「め、迷惑じゃない?」
いつも楓くんの家にお邪魔して、勉強を教えてもらってるんだ。
楓くんの顔色をうかがってみると、にこっとこちらを見て笑いながら。
「迷惑じゃないですよ。雛乃先輩が困ってたら助けたいんで」
頭を軽くポンっと撫でられた。