夏、アイス溶けるまで
「なんで、私と南雲が…」
残らないといけないんですか。と言うつもりだった。
なのに、私の後ろから聞こえたのは
「はい、分かりました。頑張ろうね。早崎。」
悪魔の囁きとも言える涼しい笑顔を見せた南雲だったのだ。
***
南雲 新太(ナグモ アラタ)
これは、目の前で黙々と花を作っている私と同じクラスの男の子の名前。
ぱっちりした目に、少しふわふわしてる髪の毛。
はっきり言って女子より可愛い気がする。
なのに、しっかりしてて男子にも女子にもたくさんの人から好かれている。
***
外から部活をしている人たちの声がする。
なのに、私たちの間に流れるのは沈黙。
この空気のまま花を作って数十分。
ただただ、この状況が辛い。
南雲は、勉強も出来てスポーツも出来る完璧な人。
そして、私の初恋の人“だった”。
南雲とは同じ中学校で同じ部活だった。
その中で密かに南雲に恋をしていた私。
毎日が楽しくて夢みたいだった。
南雲くんに彼女が出来るまでは。