夏、アイス溶けるまで

「なんで、私と南雲が…」

残らないといけないんですか。と言うつもりだった。

なのに、私の後ろから聞こえたのは

「はい、分かりました。頑張ろうね。早崎。」

悪魔の囁きとも言える涼しい笑顔を見せた南雲だったのだ。


***


南雲 新太(ナグモ アラタ)

これは、目の前で黙々と花を作っている私と同じクラスの男の子の名前。

ぱっちりした目に、少しふわふわしてる髪の毛。

はっきり言って女子より可愛い気がする。

なのに、しっかりしてて男子にも女子にもたくさんの人から好かれている。

***

外から部活をしている人たちの声がする。

なのに、私たちの間に流れるのは沈黙。

この空気のまま花を作って数十分。

ただただ、この状況が辛い。

南雲は、勉強も出来てスポーツも出来る完璧な人。

そして、私の初恋の人“だった”。

南雲とは同じ中学校で同じ部活だった。

その中で密かに南雲に恋をしていた私。

毎日が楽しくて夢みたいだった。

南雲くんに彼女が出来るまでは。

< 2 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop