夏、アイス溶けるまで
アイス溶けるまで
“家に帰ってアイスを食べる”という夢が頭の中に残っていたのか、とっさに出たこの言葉。
私が言った言葉のはずなのに、私が俯いて話が進まない。
目の前にいる南雲の顔が見れない。
せっかく放った言葉がこの空気で消えていく。
やっぱり、私たちは沈黙に陥るのかな。
「…いいよ」
考え事をしていた私は、この言葉を聞いたとき聞き間違いじゃないかと辺りを見渡してしまった。
「ぶはっ…なにしてんの、早崎。くるくる頭回したりして。」
「だって、いいよって言ってくれるなんて思ってなかった…」
「いや、行くよ。俺も買いたいものあるし。あ、そのかわり…」
「え…そのかわり??」
なんだろう。そう思って南雲が言う次の言葉を待った。
「…そのかわり、アイスが溶けるまで早崎嘘つかないでね。」
…ちょっと待ってね。
意味がわからないよ、南雲。