夏、アイス溶けるまで

「…ちょっと待ってね。南雲。どうゆうことかな、それ。」


私、空耳かな。

南雲の口から嘘みたいな言葉でたよ。

「そのままの意味だよ。じゃあ、行ってくるから、よろしくね。」

そう、右手を振って爽やかな笑顔を見せて教室から出て行った。

南雲のいなくなった教室はとても静かでシンとしている。

止まっていた手を動かし始めるけど、考えるのはさっきの出来事ばかり。

…さっきの何だったんだろう。

本当に私は南雲がわからない。



***



「ほら、買ってきたよ。」

ガラッと音を立てて教室に入ってきた南雲。

手に持ったコンビニの袋には、私のアイスと南雲が飲むお茶が入っていた。

「…ありが、と。ねぇ、本当にしなきゃなんない?」

「うん。ダメだよ。約束は守ってね。」

やっぱり。私は嘘をついたらダメみたい。

「…じゃあ、ちょっと休憩。」

ガサゴソとコンビニの袋からアイスを取り出して私に渡す南雲。

アイスはソーダ味。

爽やかな味で南雲の笑顔みたいな。

「…で、最初の質問です。」

あ。ほんとのほんとにやるんだ。

もう、諦めよう。もう、ちゃんとしよう。
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