限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「風邪引いていないからね、信じてね。無理なんかしてないからね」

「つい心配になっちゃったけど、そうだよな。うん、真帆が言うことは信じるよ」

「それと、会社で公私混同させないで。豊川さんにお茶を買いに行かせるなんて」

「買いに行けとは言ってない。用意してと頼んだだけだよ」


子供が口答えをするようにむくれて返す大ちゃんに私は目を丸くした。意外性がかわいいというか、こういう意外な一面には愛しさが増す。

大ちゃんは優しく頬を撫でていた。猫になったみたいで気持ちがよくて、丸くなった目が細まり、瞼が閉じていく。


「そんな顔されたら、キスしたくなる」

「えっ? ちょっ、待って……」


閉じた目を慌てて開けるが、時すでに遅し……キスを落とされた。

軽いキスですぐに離れたが、安心できない。


「もう、大ちゃん! ここは会社なんだよ?」

「分かってる。でも、無防備に目を閉じた真帆が悪い」

「なんで私が悪くなるの?」


責任転嫁されたことに口を尖らせて、拗ねた。彼はそんな私に「ごめん、ごめん」と頭を撫でる。

馬鹿にされている気がする……。目だけを見上げた。
< 141 / 202 >

この作品をシェア

pagetop