限りない愛~甘い彼に心揺れて~
ドアの前まで先に行った課長が付いてこないから、再度呼ばれてしまった。


「宮坂を連れてきました」


課長に入るよう促されて中に入るが、ドア付近からなかなか先へは進めない。会長の頭から爪先まで見る視線に後退りしたくなる。

社長の父親だけあって、目力が強い。


「ほお、君が宮坂さん?」

「はい。はじめまして、宮坂真帆と申します」


丁寧に深々と頭を下げてはみるが、まだ品定めされているような会長の視線に身震いしそうになる。

こ、怖い。


「部長、この子はどんな子?」

「はい? あー、真面目で元気な人ですよ。仕事も丁寧で意欲を持って取り組んでいると思います」

「ほお。社長夫人に相応しいと思うかね? 副社長の嫁にという意味だが」

「えっ? 社長夫人にですか?」


部長は質問の意図が分からなく、困惑した表情で私を見る。何のために訊いているのか分かっていても、私にはなにも答えられない。


「あの、多分宮坂さんは普通の家庭で育っていると思うので、副社長のお嫁さんになるのはどうかと……」

「うん、そうだね。育った環境は大事だよね。うんうん」
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