限りない愛~甘い彼に心揺れて~
額には汗が滲み出ていて返事も出来ないほど、苦しそうだ。私は「きゅ、救急車……」とスマホを取り出した。一刻を争う事態だ。すぐに呼ばないと……。
慌てる私の声がめぐみや畑野さんに届き、「会長!」とそれぞれが声をあげた。その切羽詰まった声にさらに周りが何事かとざわめきだす。
「おじいさん、大丈夫ですか? 救急車呼んだ?」
「あ、今……」
「いや、呼ばなくて……いい……だ、いじょうぶだ……から」
「でも……」
私が震える指で『119』を表示させるとそれを大ちゃんが奪い取り、通話ボタンをタップしようとするが、会長の手が大ちゃんの方へ伸びた。
「大祐、大丈夫だから……呼ぶな」
「本当に大丈夫ですか?」
「ああ、騒がせて悪かった。もう帰るよ」
会長の呼吸は苦しさが消えたのか落ち着きが戻っていた。かけていたブランケットを簡単にたたんで立ち上がろうとするが、大ちゃんがその前に背中を向けて、屈んだ。屈む前にサッとスーツの上着を脱いで、私に渡してきたのでそれを預かった。
「送ります。どうぞ」
「は? いや、いい。自分で歩ける」
慌てる私の声がめぐみや畑野さんに届き、「会長!」とそれぞれが声をあげた。その切羽詰まった声にさらに周りが何事かとざわめきだす。
「おじいさん、大丈夫ですか? 救急車呼んだ?」
「あ、今……」
「いや、呼ばなくて……いい……だ、いじょうぶだ……から」
「でも……」
私が震える指で『119』を表示させるとそれを大ちゃんが奪い取り、通話ボタンをタップしようとするが、会長の手が大ちゃんの方へ伸びた。
「大祐、大丈夫だから……呼ぶな」
「本当に大丈夫ですか?」
「ああ、騒がせて悪かった。もう帰るよ」
会長の呼吸は苦しさが消えたのか落ち着きが戻っていた。かけていたブランケットを簡単にたたんで立ち上がろうとするが、大ちゃんがその前に背中を向けて、屈んだ。屈む前にサッとスーツの上着を脱いで、私に渡してきたのでそれを預かった。
「送ります。どうぞ」
「は? いや、いい。自分で歩ける」