限りない愛~甘い彼に心揺れて~
でも、この笑顔はどこかで見たことあるというか、誰かに似ているような気がする。テーブルの角を見つめて、記憶を掘り起こしてみるがなにも出てこない。

気のせいかな。


「もしかして、俺のこと覚えていない?」

「えっ、気のせいじゃない?」

「ん? 何のこと?」

「あ、いえ! どこかでお会いしましたでしょうか? すみません。お会いしたことがあるような気がして、思い出してみたのですが、浮かばなくて」

私の言葉に副社長はまた笑う。笑いながら私を見る瞳は懐かしい感じだ。この瞳、どこで会っているだろう。

でも、こんなにかっこいい人を覚えていないことがあるのだろうか。


「俺、今は辻岡だけど、小学生までは野村だったんだよ。野村大祐」

「野村さん? えっ、ええっ、もしかして! まさか野村さんちの大ちゃん?」

「そう、そのまさか。真帆、久しぶりだね。いくつになった? えーと、俺が31だから……26?」


私の記憶の中にある最後の大ちゃんは、小学六年生だった。彼は隣の家に住んでいたが、突然両親が事故で亡くなり、親戚の家に引き取られた。

どんな親戚かその時に聞いたとは思うが、まだ小学一年生だった私は覚えていない。
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