限りない愛~甘い彼に心揺れて~
動かないし、俯いたままでいる私に大ちゃんが戸惑いの声を出す。


「真帆? どうしたんだ? 寒くて、風邪引いた?」


きっと大ちゃんは幼なじみの私を心配しているだけ。私を好きだと言ったのも幼なじみだから。

大ちゃんの中での私は昔も今も妹のようなもの。

きっと大人になった私に勘違いで、キスしたのに違いない。好きの意味を取り違えたに違いない。

私は間違うことなく、大好きなのに……。

足元の床が涙で濡れていく。繋がれている手を離そうとするが、逆に力を入れられてしまう。


「何で泣いてるの?」


顔を上げずに、声を出さずにただ涙を流していたが、気付かれた。それでも、顔を上げられずにいる私に大ちゃんは焦れたようで、さらに力を入れて自分のもとへと引き寄せる。


「離して」


抱き締められて、やっと出た言葉。


「離さないよ。なにがあっても真帆を離さない。やっぱりじいさんが言ったことを気にしたんだろ? ごめんな、あの時にちゃんと訂正したら良かったんだけど、試写会が始まる前だったから、プライベートのことで揉めたくなかったから」

「何を……訂正?」
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