限りない愛~甘い彼に心揺れて~
彼の胸の中で問いかける私の声は掠れていた。大きな手は落ち着かせようと背中を何度もゆっくりと撫でる。


「じいさんが俺とユリナさんのことを勘違いして、結婚するのを決めているかのように結婚式が楽しみだと言っていただろ? 俺は否定もしなければ肯定もしてなかったんだけと、真帆は勘違いしちゃったんだろ?」

「勘違い? ううん、勘違いなんかしてないよ。勘違いしてたのは大ちゃんでしょ? 私よりもユリナさんとの方が結婚相手に向いているし、ユリナさんの方が好きだと自覚したんだよね?」


お互い気持ちを探るように問いかけ合う。大ちゃんは私が勘違いしていると言うが、勘違いしているのは大ちゃんだ。


「は? 真帆、ちゃんと俺を見て」


大ちゃんは抱き締めていた腕を緩めて、私の頬に手を当てて、上へと向かせる。

こんな涙だらけのひどい顔を見られたくない。嫌われてしまうと思ったが、もうすでに振られていたのだった……。

今さら取り繕っても無駄だと、涙で濡れたひどい顔をあげる。彼はハンカチでそっと拭ってくれた。
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