限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「頬が冷たくなっている。場所を変えよう。か。ここですっと話していたら、本当に風邪を引いてしまう」


私たちは会議室に戻ることなく、オフィスの外に出て、向かい側のビルの二階にあるカフェに入った。

どんよりした私の心に似つかわしくない、白を基調とした明るく爽やかな雰囲気のカフェ。めぐみと来たときには仕事の疲れが癒される空間だと感じたけど、今はそれを全く感じることが出来ない。

出入り口近くに飾られているクリスマスツリーに、今年も彼氏のいないクリスマスを過ごすことになるなと気持ちがさらに沈んだ。

窓際の空いていた席に、向かい合って座る。外に目を向けると白精美のオフィスがそびえ立っている。

試写会は最後のユリナさんの挨拶の最中かなと前でマイクを持つ彼女を想像する。CMの鑑賞が全て終わった後は、各部長の説明と社長の挨拶、最後にユリナさんの挨拶が予定されていた。

一時中断はしてしまったけど、滞りなく進行しているだろう。

「ごゆっくりどうぞ」とコーヒーがふたつ置かれて、大ちゃんが重々しげな口を開いた。
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