限りない愛~甘い彼に心揺れて~
駐車場からここに来るまでの間、『ここでいい?』『はい』としか言葉を交わしていなかった。


「俺はユリナさんに恋愛感情を抱いたことは一度もない。うちのおじいさんと彼女のおじいさんが友だちなんだよ。おじいさん同士で五年くらい前だったかな……勝手に結婚させると話を盛り上げて、顔を合わせることになった」


ユリナさんとの関係の説明は時々、窓の外に目を向けながら続く。

連絡先を交換しておくようにと双方の祖父から言われ、一応交換したが、お互い連絡を取ることもなく、どこかに出掛けることもしていない。

だけど、去年に会社統合の話が具体的になり、そろそろ結婚を考えた方がいいと自分の中で結婚に対する意識の変化が現れた。

結婚を考えたとしても交際している人はいなかったから、会長からユリナさんがいいのではないかと五年前の話が再浮上。

大ちゃんは全然会っていなかったが、会長は時々その友だちの家に行った時などに会うことがあったらしい。だから、大ちゃんよりもユリナさんをよく知っていて、結婚するならあの子がいいと言われた。
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