限りない愛~甘い彼に心揺れて~
大ちゃんもライバル社ではあるが、同じ化粧品会社の娘なら、業界の事情も知っているだろうし、家柄としても問題はない。それに、人としても会長が気に入っているなら問題はないと考えた。

ただ恋愛感情が持てないことだけが問題だった。

今年の春にふたりだけで食事をして、それなりに話も弾んで楽しかったが、恋する気持ちは生まれなかった。

しかし、それは大ちゃんだけでユリナさんは違っていた。また食事をしたいという何度か誘われたが、断っていたそうだ。

他に好きな人が出来ることなく、時間だけが過ぎていき、会社統合間近になった。それで、今年中に結婚したい人に巡り会えなかったら、ユリナさんとのことを前向きに考えようと思った。


「そんな時、真帆に再会したんだ。式典で見た時は、懐かしい気持ちもあったけど、それよりも心が弾んだ。その弾みは再会出来た嬉しさなのか恋なのか判断が出来なかったけど、真帆が挨拶に来た時に確信した。恋の始まりにワクワクしているんだと」

「ワクワク? 大ちゃんが?」


副社長室に挨拶に行った時のことはもちろん覚えている。解雇すると言われるのではないかと心中穏やかではなかった。
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