限りない愛~甘い彼に心揺れて~
大ちゃんの言葉はいつになく力強い。どんな根拠があって、断言できるのか不思議になる。私は微妙な表情で頷き、ふと疑問に感じたことが脳内をよぎったので、訊いてみる。


「ユリナさんと初めて会ったのは、五年前くらいなの?」

「うん、ハッキリした日付は覚えていないけど、そのくらいだったと思う。その頃、まだ彼女は学生だったけどね。なんで?」

「ユリナさんとのお見合話はユリナさんのお姉さんから来たと聞いたことがあったんだけど。お姉さんと一緒に写っている雑誌を見て、大ちゃんのことを気になったユリナさんが頼んだとか……」

「あー、その噂ね。確かポスター撮影くらいの時に流れた噂だよね。畑野さんに聞かれた時に、勝手な噂が広まっていると答えたはずなんだけどな」


噂……言われてみれば、大ちゃんに確認していない。たしか畑野さんから聞いた話だったから、信じてしまっていた。

だから、今五年前からの話で会長が関わっていたと聞いて、どちらの話が真実だろうとつい大ちゃんに疑いの目を向けてしまった。

真実味を帯びた噂は怖いな。
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