限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「はい、26才です。大ちゃんは、辻岡社長の家に引き取られたの?」

「そう。社長は俺の母親の兄なんだ。だから、本当は社長の甥になる」


社長夫婦は子供に恵まれず、跡継ぎがいなかった。そこで大ちゃんを引き取るときに、養子縁組したという。

これは将来大ちゃんを社長とするために社長の父親すなわち大ちゃんのお祖父さんの指示だったらしい。

私は大ちゃんを迎えに来た黒い高級車を思い出した。私の家族全員で大ちゃんを見送った。

大ちゃんの両親が亡くなって10日後のことだった。それまでは大ちゃんのお父さん方のおばあさんが来ていたが、他にも何人か大人が出入りしているのを見た。

学校を休んでいた大ちゃんの姿は一度も見ることがなかったが。

大ちゃんを誰が引き取るか決めているのだろうと私の母が言っていたが、私には意味がよくわからなかった。

ただ両親がいなくなった大ちゃんがかわいそうだと思っていたし、早く前のように大ちゃんに遊んで欲しいと思っていた。

しかし、遊ぶどころか話さえもすることなく日が過ぎていき、突然大ちゃんが訪ねて来た。
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