限りない愛~甘い彼に心揺れて~
私は遊びに来てくれたのかと思って、大ちゃんの手を引っ張ろうとしたが、動きを止めた。

大ちゃんの隣に知らない中年の男性と後ろに初老の男性がいたからだ。中年の男性が私の両親に挨拶していて、大ちゃんも『ありがとうございました』と頭を下げた。

事の成り行きが理解出来ない私は、大ちゃんを見ながら母の手を握っていた。大ちゃんの表情が固かったから、いつもと違う様子に怯んでしまっていた。

外に出て、車に乗る前に大ちゃんは私を見た。

『真帆、元気でね』と頭を撫でるから、私は『うん』としか返せなかった。

いつもなら別れる時は『またね』と言うのに、この時は違ったから、いつもの別れとは違ってもう会えないんだと感じた。

泣きそうになったが、唇を噛み締めて我慢した。泣いたら、大ちゃんを困らせてしまうと子供なりに思った。

車が見えなくなるまで手を振って見送った。大ちゃんも後ろを向いて、ずっと手を振っていた。

家に戻ってから私は大泣きした。大好きだった大ちゃんに二度と会えないのが悲しくて、寂しくて……泣いた。

その二度と会えないと思っていた人が今、目の前に……。
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