限りない愛~甘い彼に心揺れて~
優しく見つめる彼に胸を高鳴らせていると、ドアがノックされたのとほぼ同時に開かれる。


「畑野さん……中の返事を聞いてから入ってくれませんか?」

「ああ、すみません! すみませんついでにここで失礼します。宮坂さん、あと専務にすぐ挨拶して戻ろう。急がせてしまって悪いんだけど、急の来客予定が入ってしまってね」

「はい、分かりました。あ、副社長。これからどうぞよろしくお願いします」


私が頭を下げると副社長はにっこり笑って頷いた。ゆっくり話をしたいけど、業務中である今は時間がない。

副社長もこのあと、営業部長との打ち合わせが予定されていて、のんびり雑談をしている時間はないようだった。

廊下に出て、専務の部屋へと急ぐ畑野さんを引き止める。


「専務なら私、知っていますので一人で挨拶してきます。畑野さん、急いでいるならお先に戻ってください」

「ああ、そうだね。前の会社の社長さんだから知っていて当然だよね。じゃあ、悪いけど先に戻らせてもらうよ。宮坂さんはゆっくり戻っていいからね」


最後の方の言葉が早口になった畑野さんは、急いでエレベーターへと向かっていた。
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