限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「キャッ、わっ!」

「しっかり掴まって」


記者に断りを入れた大ちゃんは不意に私を横抱きにして、持ち上げた。

女性記者からは「キャー」という声が、男性記者からは「おおっ!」という声が会場に沸き上がったのを背後で聞きながら、私たちはその場をあとにする。


「だ、大ちゃん」

「ちゃんと掴まっていないと、離したら落ちるぞ」

「えっ、離さないでよ」


大ちゃんが抱えている手を緩めるから、私は慌ててどこに置いていいか分からずにいた手を彼の首に回した。

その途端、さらに彼の顔との距離が縮まり、ドキッと胸が高鳴る。

大ちゃんは顔を歪めて、私を見つめた。


「本当に病院行かなくても大丈夫なのか?」

「うん。ほら……って、ここでは見せれないね」

「じゃあ、うちで確かめるから」


まだ触ると痛いし、今ここで確認できないけど、多分内出血はしていない。

地下駐車場で待っていた車の後部席に私を乗せた大ちゃんは素早く頬にキスした。瞬時に私の顔は熱くなる。

運転手さんに見られたのではないかと、恥ずかしくなった。大ちゃんはなに食わぬ顔で、マンションに行くよう指示した。
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