限りない愛~甘い彼に心揺れて~
私は副社長室の閉じられたドアを見てから、専務室をノックする。

すぐに返事が聞こえて、専務秘書が招き入れてくれた。そういえば、副社長室には副社長しかいなかった。秘書は不在だったのだろうか。

「おお、宮坂さん。新会社はどうだね?」

「なにもかも新鮮で刺激的です」

「そうか、そうか。ああ、そうだ。副社長には挨拶した?」

「はい、先ほどしましたが?」

なぜここで副社長のことを聞かれるのか分からなく、聞き返す。

専務は意味深に笑って「会ったならいいよ」とだけ言う。

ますますなんだろうと思うが、追及はしないで広報部での担当になったことを話した。


「これからもよろしくお願いします」

「うん、こちらこそ。そうそう、週末は運動会だよね? もちろん行くよね?」

「はい、もちろん行きます。洸(こう)くんに会えるのも楽しみです」

「あと、宮坂さんが嬉しくなるものを持っていくから、楽しみにしていてね」

「嬉しくなるものですか?」


またまた分からないことを専務は言う。でも、楽しみは当日まで取っておくのがいいだろう。数日後には分かるだろうし、悪くはないことのようだし。

そのことは頭の隅に置いて、仕事のことやちょっとした世間話を秘書の方も交えてしてから、広報部に戻った。
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