限りない愛~甘い彼に心揺れて~
そういうこともあり、副社長は兄よりも私と過ごす時間が増えていた。宿題を一緒にしたり、一緒におやつを食べたりした。

私は、兄よりも優しい大ちゃんが好きだった。実は大ちゃんが初恋の人である。


「しかし、こんなところで大祐に会えるなんて驚きだね。大祐、結婚は? 子供いるの?」

「いや、まだ独身だよ」

「おお、それは良かった。なあ、真帆」

「はあ? 何を言っているのよ、お兄ちゃんったら」


兄が言う良かったの意味はすぐに理解出来たが、その理由をこの場で言われては困ると思い、制したつもりだった。

だけど、私の思いは兄に伝わらなかった。こんなところでばらされることになるとは。


「大祐が行っちゃったあと、大変だったんだよ。大ちゃんと結婚できなくなっちゃったーと大泣きしてさ」


副社長が驚いた顔で私を見たから、慌てて視線をそらす。

私の顔は絶対に赤くなっている。被っていたキャップのつばを下げて、見えないようにした。

心の中でお兄ちゃんのバカ、バカ、バカと兄に悪態をつき、じろりと睨む。
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