限りない愛~甘い彼に心揺れて~
肩をすくめて、弱々しく笑顔を返した。


「まあ、俺が言わなくてもちゃんと副社長が教えてくれるよ。宮坂さんは特別なんだからね」

「特別ですか?」

「うん。今すぐではないと思うけど、話してくれるから待っていたらいい」

「分かりました。お疲れ様でした」


1階にエレベーターが到着したので、降りてから頭を下げた。専務たちを見送ってから、私も外へと出る。

昼間は暖かくても夜になると冷え込むこの時期、風邪対策にマフラーを……あれ?

バッグに入れたはずのらマフラーがない。

あ……手に持って出ようとして、デスクの上に置いたけど、そのまま忘れてきてしまったんだ。

忘れたものは仕方がない。取りに戻るほどでもないと判断して、駅までの道を足早に歩く。電車に乗ってしまえば、そんなに寒くはない。


「真帆」


見覚えのある車が目の前で止まり、窓が開いて手招きされる。デシャブのような光景に口元を緩ませて、近付いた。

やっぱり呼んだのは副社長。
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