限りない愛~甘い彼に心揺れて~
「俺の大切な人」


なんという答え……副社長の返答が予想外で私は目を見開いて、彼を見た。副社長も同じようにこちらを見て、なぜか意味深に笑う。

そんな副社長の答えと態度にユリナさんは苛立った声でまた訊く。


「それは、お付き合いしているからという意味ですか? お付き合いしている人はいないと聞きましたけど」

「ああ、付き合ってはいないよ。俺が一番大切にしている人だというだけ」

「付き合っていないのに、大切にしているのは好きだからですか?」


かなり直球な問いかけで私は何も言えず、副社長とユリナさんを交互に見た。名前なんてどうでもいいと言われた私はおとなしくしているしかないが、二人の話の中心にいるのは私。


「当たり前。大切なものは好きに決まっている」

「ええっ?」


おとなしくしていようと思ったばかりなのに、訊いたユリナさんよりも先に私が反応してしまった。

だって、好きだと言いましたよ? 聞き間違いじゃないよね?

大切だというのは、幼なじみで妹みたいなものだからと答えると思っていたから、予想外の答えに驚いて、鳥肌が立った……。
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