君と出会えた物語。
結海と正門で待ち合わせて3人で学校近くのカフェに入った。
こんなおしゃれなところ初めて来た。
頬っぺたをそっとつまんだけど痛い…。
憧れだったから今この場所に友達と来れてることが夢じゃないかなって思って。
「じゃあ本題に入りますか!」
頼んだものを受け取って窓際の空いてる席に座った。
「なんの話?なんかあったの?」
何も聞かされていない結海は首を傾げていた。
私もあまり分かってはいないけど。
「今日はね、朱莉の恋の相談だよ!」
「え!?恋?私が…誰に??」
江美が何を言ってるのか分からない。
恋とかしたことないし…
「江美…朱莉も私も全然分かんないんだけど。」
「江美には分かるもん!朱莉分かりやすいし。そう顔に書いてあるっ」
「私、友達が出来たのが今日が初めてで…恋なんて自分とは無縁だと思ってたから分からない。…分からないけど、無意識にヒロの事を考えてしまうけど…。」
そう正直に話すと、
「ね、結海。絶対恋だよ。」
「いやまだ気になるとかじゃない。好きとかはこれからでしょ?」
結海の意見に頷いた。
だって、今日初めてヒロと喋ったんだもん。
「たぶん、ヒロのことは友達としてだと思う。なんで私にこんなに良くしてくれるのかなとかそんな感じで考えちゃうだけだよ。」
うん。
そうだ。
自分で言っときながらすごく納得出来た。
私が恋なんて…ないよ。
「江美は急かし過ぎだよ。朱莉はピュアなんだから。」
「そっかぁ、なーんだ残念。」
プクっと顔を膨らます江美に、結海は笑って頭を撫でている。
その光景を見てるだけで癒されるこの2人が友達なんて私の自慢だ。
2人のこともっと知りたい。
もっと深く関わりたい。
「あの…いつもあのメンバーでご飯食べてるの?」
「うん!みんな小学校からの幼なじみだよ。」
「昔から江美たちずっと一緒だったの。」
「そうだったんだ!あの立ち入った質問ばっかりになっちゃうんだけど…江美はなんでずっと学校休んでたの?」
もっともっと知りたい。
「…あぁ、うん。実は家ママとおばあちゃんと3人暮らしだったんだけど、入学式の日におばあちゃん亡くなっちゃって…。」
江美は無理矢理笑顔を作ってくれている。
そんな顔させたかった訳じゃないのに…。
焦って聞いてはいけないこと聞いてしまった。
私…ダメだな。
「…ごめん。2人のこと知りたくて思わず…。」
嫌われてしまったかな…。
「ううん。もう大丈夫だから!それに江美ももっと知ってもらいたいし、あかりの事もっと知りたいな。」
結海はまた江美の頭を撫でている。
悲しさを埋めてあげるみたいに優しく。
私にもそんなこと出来るのかな…。
出来るようになりたいな。
「友達だしなんでも言える関係に朱莉ともなりたいな。だから、私のことも知ってほしい。うーん…なんか秘密にしてること…。」
結海は腕を組んで考えてる。
黙ってしまった私のために無理してる江美のためにも気を使って話題をそらしてくれたのかな…。
すごいな。
「あ!別に秘密にしてる訳じゃないんだけど…私、達也にずっと片思いしてるんだ。だから、また朱莉にも相談とかのってほしい。」
そうだったんだ。
仲良いとは思ってたけど…なんか納得。
私も結海の恋応援したいな。
「2人とも…話してくれてありがとう!江美のことも結海の恋も両方私も支えたい。」
なんでも打ち明けてくれる2人の話を聞くのはとっても嬉しかった。
私にとって既に2人はかけがえのない存在になりつつある。