君と出会えた物語。
ガタンゴトン…
すごく賑やかだったから帰りはなんか寂しい…。
1日でこんなに世界が変わるなんて思わなかったな。
ヒロって本当にすごい。
こんな簡単に私の人生変えてくれるなんて。
1人だったらきっと今もこれからも変わることなんてなかったと思う。
「ただいまー!」
「朱莉様おかえりなさい。」
「ばぁやただいま!お母様は帰ってるー?」
私のお家は世間ではそこそこ裕福な方らしい。
生まれてからずっとここに居るからあんまり自分では分からないけど。
「今日は帰ってきておられますよ。今は確か…食卓に居られるはずです。」
お母様は私が小さい頃に亡くなったお父様の会社を継いで女手一つで私を育ててくれた。
その代わり忙しくてあまり家に居ないことが多い。
家では基本誰かと話をすることはない。
喋るのが苦手なのも少しはこの家が原因なのかなって…。
「ありがとーっ」
吹き抜けの玄関を抜けて食卓に軽い足取りで向かう。
「お母様、今帰りました!あの聞いてください。私、お友達ができたの。」
「あらそう!良かったじゃない。」
トゥルートゥルー…
「朱莉ごめんね。電話だわ。」
お母様にもっと聞いてもらいたかったのにな…。
久しぶりに会えたのに。
でも、我儘言ったら困らせちゃうし。
寂しいけど我慢しないと。
そう自分に言い聞かせた。