君と出会えた物語。
第3章*⑅



楽しみすぎて昨日はあんまり寝れなかった…。



いつもより早く登校すると教室にはヒロと前田加奈の集団しかいない。



ドキドキしながら横を通り過ぎたけど…なにも言われなかった。



ヒロがいると前田さんは私になにもしてこないみたい。



すごく睨まれるけど…。



「ふぁ〜…。」



「寝てねぇの?」



あくびをする私にヒロが馬鹿にするように話しかけてくる。



「週末が楽しみすぎて寝れなかった。」



「週末?」



「週末ね、江美と遊ぶんだよね〜!あ、あと結海も!それとおはよー。」



「ヒロと朱莉おはよ。」



江美と達也くんも登校してきて私の机の周りに集まる。



「おう、お前ら遅いな!」



ヒロが無邪気に笑って達也くんの肩をぽんぽんと叩く。



「…2人ともおはよう。」



挨拶だけでもまだ慣れない…。



タイミングが掴めなくて難しい。



けど、おはようって言われるだけで朝から明るい気持ちになれる。



「てか、女子だけで遊ぶのかよ。俺らは?」



「男だけで遊べば?今回は女子以外誘いません。」



「なんだそれ。次は誘えよ?」



ヒロが伺うように見てくる。



私は思わず吹き出してしまった。



「あはは!なんでそんな捨てられた犬みたいな顔してるの?次は絶対誘うね。」



「なに笑ってんだよ。…狙ったんだよ!次は絶対だぞ、約束だからな!」



キーンコーンカーンコーン…



「やべ…。」



先生が入ってくる前にダッシュで戻っていくみんなにクスッと笑いが溢れる。


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