君と出会えた物語。
優しい風が髪の間を通り抜ける。
空は雲ひとつなくて屋上でご飯食べるのにはすごく良い日。
「こっちこっち!」
「愛、今日テンション高すぎだから。」
先に座る愛に駆け寄りながら美優はそう言う。
「だって〜あかりんと仲良くなれて嬉しいもん。」
「私も嬉しい!」
ニコニコと笑う愛につられて私も笑顔になる。
「ねぇねぇ、ヒロとはどういう関係なの?あ、変な意味じゃなくて前まで話してるの見たことなかったから気になって。」
お弁当を広げながら美優が私のほうを見る。
「うーん…偶然が重なってって感じかな?自分でも分かんないかも。」
居にくくなってしまった教室を飛び出てたまたまヒロたちが廊下に居て…
その後向かった空き教室でらたまたま会って…
本当に偶然なのかも。
「そうなんだ。でも、すごいね偶然が重なってとか…運命みたい!」
運命かぁ。
なんかキラキラした言葉だから私には遠い世界みたい。
「運命!いいなぁ…愛も運命の出会いとかしてみたい。そして、恋人に…的な!」
「こ、恋人!?ないない!ヒロとは、ただの友達だよ!」
「えぇ〜分かんないじゃん。ヒロイケメンだし。美優なら好きになっちゃうかも。」
確かにヒロはカッコいいけど…
友達になれた事だけでも奇跡みたいなものなのに恋人なんて…
「ありえないよ。」
「愛は朱莉可愛いと思うからあると思うけどな!」
そう言って抱きついてくる愛。
「いやいや、愛のほうが何千倍も可愛いから!」
「2人とも可愛いから!嫌味かと思うわ!」
3人一斉に笑い出す。
キーンコーンカーンコーン…
「あ、やばい!戻らないと!」
慌てて広げていたお弁当を片付けて走って教室に戻る。
お互い顔を見て笑い合ってすごく楽しかった。
屋上から教室まで少し遠いはずなのにあっという間って感じ。
憂鬱なはずの午後の授業もなんか気が楽だった。
また友達が増えて嬉しい。
私なんかにこんなに優しくしてくれる人が沢山いて殻を破ることができて本当に良かった。