君と出会えた物語。
第4章*⑅
ピピピピ…ピピピピ…
目覚ましがなるより先に目が覚めていた。
だって今日はずっと楽しみにしていた週末だもん。
江美>今日駅前に11時集合ね!
結海>了解!
朱莉>分かったよーっ
待ち合わせまであと2時間もある。
事前に決めていた大きめの襟にレースの付いた白のブラウスにピンクのフレアスカートを着た。
コンコンっ
「朱莉お嬢様。お母様がお帰りになられてます。下に降りて来られますか?」
「はぁーい。今行きます!」
なんだろう…。
帰って来てもすぐ出かけてしまうから呼ばれることなんて普段ないのに。
リビングに行くとお母様がソファーに座っていた。
あと、向かいに若い女の人もいる。
「お母様どうしたの?」
「あ、朱莉。こちらにいらっしゃい。」
なにも分からないけど、とりあえずお母様の隣に座った。
「こちらは新島(にいじま)さんって方なんだけど、ヘアメイクさんなの。今日はお友達とお出かけってばぁやに聞いて私が頼んだのよ。」
「え?私の為に?…嬉しい。」
新島さんは慣れた手つきで人生で初めてのお化粧をしてくれて、私の腰まで伸びた髪を綺麗に巻いてくれて、パッツンの前髪を少し分け鏡を手渡してくれた。
「す、すごい。これが私?」
お母様は私を見て嬉しそうに手を合わせてる。
「可愛いわ、朱莉。さすが私の娘ね!」
「本当にお似合いですよ。良かったら化粧品やコテなど差し上げますよ。」
そう言って新島さんは私にたくさんの化粧品とコテをくれた。
雑誌や漫画で見たことはあったけど、自分にはまだ早いとずっと思っていた物。
「新島さんありがとう!大切にするね!また、使い方とか教えてほしいな。」
「もちろん。いつでも連絡してね!」
ふと時計を見ると10時半を指していた。
待ち合わせは11時。
あと、30分しかない。
「え、やばい。行かないと!お母様ありがとう。いってくるね。」
「早くいってらっしゃい。また、今日の話聞かせてね。」
背中を押して送り出してくれるお母様。
「いってきまーす。」
鞄を肩にかけて駆け足で駅に向かった。