君と出会えた物語。
「どうしたの、朱莉?」
立ち尽くしている私に気づいた結海が聞いてきたのと同時に、
「あ!あれヒロたちじゃん。おーーーいっ!」
江美は、私を向かえてくれた時みたいに大きく手を振った。
3人はこちらに気づいて手を振りながら歩いてくる。
通りすぎる女の子達が振り返ってきゃーきゃー騒ぐ。
私服の3人は学校で見るより何倍もかっこよく見える。
スタイル良し、顔良し、おまけに高身長。
そりゃ女の子達の視線も釘付けになるはずだ。
「お前らなにしてんの?」
ヒロは相変わらずな感じで声をかけてきた。
「あれ、朱莉?今日はいつもに増してすごい可愛いじゃん!」
裕太がそう言いながら私の頭に手をポンっと置いた。
ードキっ
あ、あれ。
ヒロの時と同じ?
やっぱりあれは勘違いだったんだ。
私が男の子に免疫がないから緊張しただけだったんだ。
「裕太。スキンシップ激しいから。」
無愛想に言う達也くんに裕太はごめんごめんって言いながら離れていった。
「あのさ、今お前らがじゃれてる間に江美と結海と3人で決めたんだけど俺らもご飯まだだし合流しよーぜ。」
「全然いいよ。任せる。」
「お!いいねっ!」
無愛想な達也くんにテンションの高い裕太くん、そして自由なヒロ。
3人とも全然違うタイプだけど楽しそうで思わず笑ってしまう。
「なに1人で笑ってんだよ。朱莉もそれでいいか?」
「別に〜。うん、賛成だよ!」
「じゃあ行くか。」
ヒロの一声でみんなフードコートに向かって歩き出す。
「あ、そうだ。」
前を見て歩き出したヒロが後ろにいる私の方を向いて、
「今日、いいじゃん。似合ってるよ。」
そう言ってまた前を見て歩き出す。
ドキっ
え...嬉しい。
ヒロに褒めてもらえるとか思ってなかったから口元が緩む。
「ヒロっ、ありがとう!」
振り返らずに手をひらひらさせるヒロに、私は駆け寄り背中をポンっと軽く叩いて追い越した。
私なりの照れ隠し。
江美と結海に追いついて着くまで何を食べるかで盛り上がった。