君と出会えた物語。



「ヒロの家はここから近いの?」



なんだか帰るのが名残惜しいってのもあるけど、さっきから気になっていたことを聞く。



「割と近いよ、歩いて5分ぐらいかな〜。」



思ってたよりすごく近い。



あれ?…



「そうだったんだ!でも、私今まで駅とかで見かけたことないかもしれない…。」



すごく不思議だった。



こんなに近いなら偶然に会ったりとかありそうなのに1度もないとか…



「俺はよく見かけるよ。前歩いてるからじゃない?気が向いたら声かけてあげるっ。」



ドキっ



またこの無邪気な笑顔。



ずるいなぁ。



「気が向かなくても声かけてね!」



「分かったよ。じゃ、また学校で。」



そう言って頭をポンっと撫でてヒロは歩き出した。



ドキドキ…



うるさい心臓と名残惜しさからヒロの広い背中を眺める。



曲がり角でそんな私に気がついたヒロは手を振ってくれる。



ドキドキ…ドキドキ…



余計に速くなる心臓。



変に思われないように、小さく手を振り返すと優しく微笑んで行ってしまった。



裕太の時とは全然違う。



もっとなんか胸の辺りがぎゅーってなる感じ。



私…



ヒロのこと…



好きなのかもしれない…。



そう思うといてもたってもいられなくなって玄関に駆け込んで携帯を開いた。



朱莉>私、ヒロのこと気になる…かも。



そう送ると江美と結海からやっと自覚したんだ!とかいつでも相談乗るよ!って応援の言葉をもらった。



初めての恋を知った。


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