君と出会えた物語。
「お前さ、最近調子乗りすぎなんだよね。マジでキモい。」
そう言って女の子は掴んでた私の腕を校舎の壁をめがけて投げた。
「…痛…。」
バランスを崩した私は壁に倒れ込んだ。
なにが起こってるのか。
…そんなことを考える余裕もない。
頭の中は真っ白。
「前みたいに大人しくしとけば良かったのに、ヒロの自転車の後ろとか乗せてもらって毎日登校とか調子乗りすぎ。」
ショートカットの女の子がそう言うと一緒に居た他の2人も口を開く。
「彼女気取りすんなよ。」
「横取りするとか性格悪すぎ。」
頭が追いつかない私に言いたいことを押し付けられる。
「ヒロの彼女は私なのに…。私だったのに…。なのに、なんで…。」
そう言ってショートカットの女の子が泣き叫んだ。
どういう…こと…。
余計に訳が分からない。
「春菜(はるな)…。」
友達と思われる1人が心配そうにその子の名前を呼ぶ。
未だに理解できてなくてポカンとしてる私に春菜と呼ばれる子は涙に溢れた顔を拭いて近づいてきた。
バシッ
「今度ヒロに近づいたらこんなんじゃ済まないから。」
そう言い残してその子達はどこかへ行ってしまった。
叩かれた頬に手を当てるとジンジンとした痛みとともに腫れて熱くなっている。
スクバから取れて汚れてしまったうさぎのキーホルダーを拾ってぎゅっと握りしめた。
「...怖い。怖かった。」
立ち上がると窓に朝綺麗に巻いたはずの髪が乱れて制服には泥が付いていた。
痛っ!!!
激痛が走ってその場に再び倒れ込んだ。
「痛い…。」
倒れた時に足をくじいてたみたいで、足首は赤く腫れていた。