君と出会えた物語。
頬の腫れも足の痛みもだいぶ和らいで、この格好じゃ教室に入れないし、ヒロに会うのは気まずい。
朱莉>急に居なくなってごめんね。急用ができて帰ることになった(ㆀ˘・з・˘)心配しないでね!
授業中の為グループトークになるべく心配させないように江美と結海に送った。
ヒロにも送ろうか悩んだけど。
春菜っていう子の事が気になってやめた。
そっと携帯の電源を落としてポケットにしまう。
とりあえず学校から出たはいいけど、家には誰かしら居るかもだから今帰って鉢合わせたら心配かけてしまう。
そう思って行く当てもなく彷徨った。
すれ違う人が、私のボロボロな姿を見て何事だと言わんばかりにヒソヒソと話してるのが聞こえる。
いつもは人目とかすごく気になるけど…
今日は全く気にならなかった。
「痛っ…。」
どのくらい歩いたか分からないけど、痛くなくなったはずの足がまた痛み始める。
ずっと俯いて歩いていたけど、ここが何処なのか気になって顔を上げる。
初めて見るこの町は家がたくさん建ち並んでいて住宅街っていう言葉がぴったりな場所だった。
「どこかで休みたい…。」
少し歩いてようやく見つけた公園のベンチに座った。
学校が終わる時間なのか制服を着た人達がちらほら歩いてるのが見える。
もうそんな時間なんだと公園の時計を見ると16時過ぎを指していた。
だいぶ歩いたな…。
そう思いながら、痛めた足に目線を落として靴と靴下を脱ぐと赤くさっきよりも腫れていた。
痛みもあるけど…自分の情けなさに、
また1人泣きそうになったその時。
「…朱莉?」
懐かしい声に驚き顔を上げると、
「真由(まゆ)ちゃん…。」
どこに居るのかも分からなかったあの時のあの子だった。