君と出会えた物語。
「朱莉!」
公園の入り口から私を呼ぶヒロ。
「ほら、行っておいで。頑張れ朱莉!」
真由ちゃんは手を振って見送ってくれる。
頷いて手を振り返して小走りでヒロの元へ行く。
「心配したんだからな。ちゃんと連絡ぐらいしろよ。」
私の腕を掴んで抱き寄せられる。
「え…ヒロ…。」
戸惑う私なんて気遣う様子もなくヒロは私を抱きしめる。
細いな…なんて思ってたけどしっかりした腕で硬い胸に包まれる。
「俺、朱莉のこと初めは見ててイライラするって思ってた。」
耳元で囁く彼の声に心臓が飛び出しそうだった。
「けど、ほっとけなくて…一緒に居るようになってからあの写真と同じ笑顔で笑ってくれる様になって俺…朱莉に惹かれてた。今日居なくなってすげぇ心配して気付いたんだ。」
ヒロは私の顔を両手で挟んで持ち上げる。
そこには真剣な顔をしたヒロの顔があった。
「俺、朱莉のことが好きだ。付き合ってほしい。」
ドキドキ…
鳴り止まない心臓の音。
まさか、ヒロが私の事を好きだなんて言ってくれるとは思わなくて…
黙って焦っている私を見てヒロはこう続けた。
「ダメ…かな?」
ずるい。
そんな可愛い顔されたら無理なんて言えない。
そんなこと言うつもりなんてないけど、そのぐらいずるい顔。
そして、私の伝えたかったこと。
ヒロに先を越されてしまったけど、ちゃんと言葉にしたい。
「私も…ヒロの事好き。」
言葉にすると顔がすごく熱くなるのが分かる。
恥ずかしい。
「やったー、嬉しい!朱莉、よろしくな!」
無邪気に笑うこの笑顔が大好き。
強く強く抱きしめてくれて私もそれに答えたくてヒロの腰に手を回す。
「こんな所でやめてもらってもいいですか〜。」
2人とも忘れてた真由ちゃんの存在。
冷やかしながらも祝福してくれた。
「邪魔すんなよ、転校生ちゃん。」
そう言うヒロの顔は赤かった。
初めて見た照れてるヒロはすごく可愛かった。